クアラルンプールから世界へ!異文化と向き合い、ラーメンで感動を届ける挑戦
- 宮崎千尋

- 4月29日
- 読了時間: 3分
更新日:7月22日
ラーメンを作り、店を経営する──これまで続けてきた活動の中で、最近は視野がどんどん広がっているのを実感しています。
たとえば、僕は最近、農業を手がけています。麹町本店に併設した「かえでパン」にちなんで、「かえでファーム」とも言うべき、小さな農園です。そろそろ小松菜が収穫の時期。店舗で使ったり、出荷したりするかどうかはまだ決めていませんが、こうして食材を育てるところから食に関わることで、ラーメンという枠を超えた世界に、少しずつ踏み出しています。これまでラーメン中心だった自分のフィールドに、「農業」という新しい要素が加わったことは、大きな変化でした。野菜を育てる難しさ、自然との向き合い方。ラーメンづくりにも、もっと広い視点を持ち込めるようになってきた気がします。
異文化の地で「初めて食べる感動」を届ける
振り返れば、これまでは「ラーメン」そして「日本」という、ある意味では限られた世界で生きてきたと思います。でも、2024年──OICグループへの参画、そしてマレーシア・クアラルンプールでのラーメン店『Minamo みなも Japanese Ramen Noodles』のプロデュース経験が、僕にとって大きな転機になりました。ここは、僕が全面プロデュースした、ハラル対応のラーメン店です。

マレーシアは、人口の約7割がマレー系で、ムスリムの方々が多くいます。つまり、ハラル文化への配慮が不可欠で、異文化への知識と理解が求められるプロジェクトでした。この土地で、ラーメンを初めて食べる人たちに、どう届けるか──その試行錯誤が、僕自身にとっても大きな挑戦でした。
これまでのような、日本のラーメン評論家やラーメン好きに向けた商品開発とはまったく違う世界。マレーシアのお客さんたちは、ラーメンを「初めての料理」として体験してくれます。「こんなに美味しいもの、食べたことない!」という純粋な感動に、こちらまで心が動かされました。
おかげさまで『minamo』は連日満席。しかも今、2号店の話も進んでいます。たった7時間のフライトで行けるマレーシアで、これだけの手応えを感じられたことは、僕にとってかけがえのない経験です。


ローカライズと限定メニュー戦略
日本のラーメン文化をアジアに発信する起点として期待がかかる『minamo』ですが、常に新しい刺激を取り入れながら、お客さまにワクワクしてもらえるように工夫しています。鶏ベースの「しろ(鶏白湯)」「しょうゆ」という基本メニューに加えて、月ごとに提供する限定ラーメンもラインナップを変えながら展開。リピートはもちろん、お客さまに「来月また来たい!」と思ってもらえるような仕掛けです。
僕自身が3ヶ月に一度現地を訪れて、限定メニューを監修している点も特徴です。限定は日本のラーメン店では珍しくありませんが、こうした小さな変化の積み重ねが、着実にファンを増やしている手応えを感じています。

日本のラーメン職人たちへ伝えたいこと
マレーシアでの経験を通じて、強く思ったことがあります。それは、もっと多くの若いラーメン職人たちに「海外へ出ていってほしい」ということ。クアラルンプールでも、バンコクでも、台湾でもいい。まずは旅行でもいいから、日本を飛び出して、異文化に触れてみてほしい。きっと、自分の世界がぐっと広がるはず。
僕は海外に出て、異文化の中で自分のラーメンを届ける──そんな挑戦を、これからも続けていきたい。世界ともっと、ラーメンでつながっていきたい。心から思います。
そして、ソラノイロも、2025年11月に台湾・台中の百貨店に出店します。これからは、日本国内だけでなく、世界を舞台にラーメンを届ける時代。次回は、その台湾出店について詳しく紹介していきたいと思います。お楽しみに!

ラーメン店『ソラノイロ』創業者
飲食店コンサルタント 宮崎千尋



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