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ラーメンの「商標」―求められるのはリテラシーと敬意

更新日:2025年7月22日

今回は、少しニッチなテーマかもしれませんが、僕がずっと気になっていた「商標」の話をしようと思います。というのも、最近、飲食業界の中で「商標」をめぐるトラブルが増えている印象があります。僕自身、何件か相談を受けたり、間に立って話をすることもありました。


意識の差がトラブルを生む──商標リテラシーの現実


たとえば、店名や商品名をしっかり商標登録しているラーメン店がある一方で、まったく調べずに使ってしまう店もまだまだ多い。「グランドメニューじゃないから」「エリアがかぶっていないから」と自己正当化して、限定ラーメンに勝手にその名称を使ったり。そういうケースを見るたびに、「ちゃんと調べてからやってほしい」と思わずにはいられません。


個人店ならまだしも、複数店舗を展開しているような店であれば、なおさら意識しておいてほしいところです。最近も、ある地方のラーメン店が既存の店舗名をそのまま使っていて、「うちの名前が使われている」と相談の電話を受けました。相手の方とは面識があったため、僕からメッセージを送りましたが、返事はありませんでした。こちらの使っている店名を、事前に調べていれば防げた話です。これは店主、経営者の意識の問題であり、業界全体のリテラシーの問題だと思っています。


「ベジソバ」「ソライロ」――実体験から感じたこと


ただ、ラーメン業界にはこうしたケースが少なくありません。東京の人気店が有名飲食店チェーンと同様の名前を冠していたことから、店名を変更したことがありました。


もちろん、ソラノイロも例外ではありません。僕は「ベジソバ」も商標登録していますが、北海道や関西で同名のメニューを使用した店があり、直接連絡して変更してもらったこともあります。「ソライロ」という名前を高知の店が使っていたこともありましたし、京都のある店舗が、ソラノイロのロゴの書体や水色の配色など、明らかに意識しているだろう、と酷似していたケースもありました。多くの業界関係者から「これ、ソラノイロのパクリじゃない?」と指摘されたこともあります。僕はその企業の経営者と話したことは一度もありませんが、そうした声を聞くと、「やっぱりそう見えるんだな」と実感します。商標上は抵触しないでしょう。しかし、知っている人が見れば明らか。これは知識やリテラシーというよりは、ラーメン職人としての「プライド」の問題かもしれません。他人が築いてきたブランドや信頼を、調べもせずに使うのはリスペクトがないと思います。つまり、「自分の城に掲げる看板がパクリでいいのか。そのような看板を大切にできるのか?」という問題だと思います。


「正しいことを、正しくやる」業界でありたい


僕がこの話をするのは、誰かを糾弾したいからではありません。むしろ、「ちゃんと考えていこうよ」という提案です。ある国のように、ドラえもんやディズニーの海賊版が普通に出回っているような環境ではなく、日本のラーメン業界には「正しいことを、正しくやる文化」であってほしい。それが僕の願いです。


飲食業は、もともと著作権や知的財産権が曖昧な世界です。商品もレシピも、アイデアも、ほとんどが「パクり・パクられ」の中で成り立ってきた面があります。でも、だからこそ、「商標ぐらいはちゃんとしようよ」と声を大にして言いたい。


「自分たちは、胸を張って商売している」と言える業界であってほしいし、そんな人たちと一緒にこれからの未来をつくっていきたいと思っています。


ラーメン店『ソラノイロ』創業者

飲食店コンサルタント 宮崎千尋

 
 
 

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