個人ラーメン店は、これからどう生き残るのか
- 宮崎千尋

- 2月13日
- 読了時間: 3分
昨年の忘年会で、個人店のラーメン屋が集まったときのことです。「今年は客数が10%落ちた」「20%落ちた」──そんな話が、本当に多く聞かれました。
理由はいくらでも挙げられます。原材料の高騰、人件費の上昇、円安。ただ、それ以上に僕が感じているのは、個人ラーメン店のビジネスモデルそのものが転換期に来ているのではないか? ということなのです。
個人ラーメン店を苦しめる、いまの経営環境
まず前提として、ラーメン屋のオペレーションは、労力が重い。開店前からスープの仕込みが始まり、数時間にわたって火を入れ続ける必要があります。その間は人員が付ききりにならざるを得ませんし、ガス代などのエネルギーコストも常に発生するわけです。
それだけの工程と負荷をかけて、最終的に提供されるのが、一杯のラーメンということなんです。昨今、いろんな議論がありますが、1000円というボーダーラインを考えても、ビジネスとしては厳しいところでしょう。構造自体が、すでに限界に近づいているのではないでしょうか。
しかも、「常連さんがいるから大丈夫」という時代でもなくなってきました。テレワークの普及によって、平日ランチの客足にも変化が見られます。シーズンを通してみれば、引っ越しや転勤、会社の移転。3月、4月を境に、客層が一気に入れ替わることも珍しくありません。
新店ができれば話題になりますが、最初はコレクター、新店ハンターと呼ばれるフリークが来てくれても、その客足が定着するとは限らない。
つまり、ただおいしいラーメンを作るだけでは、続かないということです。
「ただ美味しい」だけでは残れない時代に
かつては、味のオリジナリティや、スープへのこだわり、素材の説明そのものが価値でした。でも今は、それらが「できていて当たり前」になってしまっています。
では、何が残るのか。
店主やスタッフがキャラ立ちするしかないのか。テレビに出て露出するしかないのか。
それも一つのプランでしょう。ただ、誰にでもできることではありませんし、刺さる客層も限られます。
だからこそ、最近はこう考えています。個人店こそ、チェーンから学ぶべき時代に入っているのではないかと。
価格設定とボリューム感
家族でも来られる店のつくり、メニュー
ラーメン単体ではなく、餃子や唐揚げ、ご飯ものなどのセットまで含めた「満足感」
丸源ラーメンをはじめ、ロードサイドで生き残っているチェーンが強いのは、まさにそこです。ファミリーに圧倒的に強い。そして、子どもの頃に食べた味はしっかりと残る。大人になっても自然に支持するようになります。
この構造を見て、一つの道が見えているように思います。個人店が生き残る道は、派手なこだわりを積み上げることだけではありません。
地元に根ざす。通い続けてもらう理由をつくる。価格も含めて、「この店で食べる意味」をきちんと示す。
ただ美味しい、では弱い。毎週でも、家族でも、一人でも来てくれる“生活圏のお客さん”に、この店で食べ続けてもらう理由を、どう提示できるのか。
その問いから逃げずに考え続けなければ、これからの個人ラーメン店は、本当に厳しくなると思っています。
ラーメン店『ソラノイロ』創業者
飲食店コンサルタント 宮崎千尋



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