移転は“ゼロ”からの勝負──銀座本店であらためて知った現実
- 宮崎千尋

- 2025年12月1日
- 読了時間: 3分
10月3日に『そらのいろ銀座本店』をオープンしてから、約1か月半。銀座という街でどのような反応が返ってくるのか――?そんな期待と不安を抱えながらスタートした新しい本店ですが、日々の数字を見ていると、僕は何度も立ち止まって考える時間がありました。
「こんなに苦戦するとは、正直、想像していなかった」
ソラノイロが14年かけて積み上げてきた実績をそのまま“本店”として移転したはずなのに、なぜ届かないのか。理由を考えていくうちに、ひとつのシンプルな現実が浮かび上がりました。
移転とは、ただ場所を変えることではなく、実質的には“新規オープン”である、ということです。
移転は、ゼロからのスタートだった
銀座へ本店を移す前、8月には麹町店を『豚骨ラーメン そらのいろ 麹町本舗』へとリニューアルしました。驚いたのは、味を大きく変えたにもかかわらず、お客様がむしろ増えたこと。14年という年月が築いた“場所への信頼”が、味の変更すら受け止めてくれたのだと思います。
けれど、銀座本店はまったく違いました。
ソラノイロにとっては「本店移転」。しかし銀座の人たちにとっては、“新しいラーメン屋”にすぎないのです。「本店だから行こう」という理由にはならない。このギャップが、数字の差として表れたのだと思います。
幹部と話す中で気づいたのは、これは多店舗展開しているブランドならではの難しさでもあるということ。
たとえば最近で言えば、『中華そば しば田』(仙川 → 狛江)『饗 くろき』(浅草橋駅寄りへ移転)のように、単店で強い店が移転すると、「そこへ行かなければ食べられない」からお客さんは自然と動きます。
しかし僕たちはそうではありません。麹町でも、東京駅でもソラノイロは体験できる。だからこそ、「銀座に移転したから行こう」という必然性が生まれにくい。
つまり――本店の移転だとしても、その街にとっては“まっさらな新店舗”でしかない。
この事実を、今回初めて痛感しました。
1店舗目を立ち上げる覚悟を忘れない、ということ
毎日の営業は、まさにゼロからお客様の心をつかみにいく作業そのものです。ラーメンとサービスのクオリティを突き詰め、銀座という街に合った夜営業の形を探り、宴会利用も提案する。来てくださったお客様に「また来るね」と言ってもらい、次の予約につなげる。
派手さはないけれど、一歩ずつ積み上げるしかありません。
でも、不思議と前向きでもあります。むしろ、商売の原点に立ち返らせてもらっているような感覚もある。
「本店だから自然と人が来るだろう」そんな甘い予測は、一切通用しないということ。
幹部たちとも話しますが、移転準備で最も大切なのは、
“常に1店舗目を立ち上げるつもりで動く”こと。
この意識は、今後の出店に必ず生きるはずです。
商売の難しさと真剣に向き合いながら、スタッフ全員で積み重ねている今の時間は、確かな学びでもあります。
移転は、決して継続ではない。新しい街で、一から信頼を築く挑戦です。
その事実を全員が理解し、しっかりと足元を固めて進んでいく。それが、これからのソラノイロが強くなるために欠かせない姿勢だと思っています。
ラーメン店『ソラノイロ』創業者
飲食店コンサルタント
宮崎千尋



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