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M&Aの活発化と、ラーメン屋の出口戦略について思うこと

前回のnoteでは、ソラノイロがM&Aという選択をしてから1年が経ち、実際にどう変わったのか、その所感を書きました。書きながらあらためて感じたのは、これは決して限定された話題ではない、ということです。最近、ラーメン業界全体でも、M&Aの話を聞く機会が明らかに増えています。


老舗ブランドがファンドに売却されたり、人気店が大手グループに加わったり。そうしたニュースを見るたびに、「ラーメン屋も、いよいよ出口戦略を真剣に考えるフェーズに入ったな」と感じます。


というのも、正直に言って、いまラーメン屋を続けるのは相当きつい……。


コストは上がっても価格は上げられない現実


米も、小麦も、肉も、野菜の価格は上昇の一途。人件費もエネルギーコストも上がっている。それでも、ラーメンの売価は簡単には上げられない。


値上げができているのは、本当に一握りの店だけです。素材や出汁の文脈を理解して食べている層が、食べ手全体の何%いるのかは、正直わかりません。淡麗系や繊細なラーメンはメディアや評論家に評価されやすい一方で、人気YouTuberのチャンネルを見ていても、二郎系や家系、いわゆるガッツリ系は視聴数が伸びやすく、淡麗系は少なくとも拡散という点では回りにくいように見えます。


行列ができる理由も、「この出汁がすごい」とか「素材の鶏がどうだ」という評価軸より、辛さや油といった、より分かりやすい快楽にある場合が多い。つまり、いまはラーメンというジャンルの中だけで競争している状況ではありません。蒙古タンメン中本やニュータンタン、辛麺、麻辣湯といった、刺激が強く直感的なメニューが、ラーメンと同列の選択肢として選ばれているのが現状です。


結果として、フリークが行列をつくる超人気店は成立する一方で、それが東京以外のエリアでどこまで通用するのかと考えると、正直、かなり厳しい現実があります。


ラーメンの強さって、結局のところ、安くて、分かりやすくて、お腹いっぱいになる。そんな、ど真ん中のところにあると、最近あらためて感じています。


出口を考えずに続けることのリスク


では、そんな厳しい環境で、ラーメン屋はどう生き残るのか。出店して、投資して、人を雇って、リスクを背負いながら続けていく。これはビジネスとして見れば、かなりハードモードです。


だからこそ、ずっと個人で続けるのか、誰かに承継するのか、上場を目指すのか、M&Aを選ぶのか――この出口を考えずに続けるのは、正直かなり危険だと思っています。


M&Aは、ゴールの一つでもあり、成長を加速させるための手段でもあります。最近、六厘舎が上場ではなく売却という選択をしたのも、仕入れや出店スピードを含めた現実的な判断だったはずです。僕自身も、そういう考えのもとでOICグループにジョインしました。


ただ、M&Aというと、「いくらで売ったのか」という話ばかりが注目されがちです。でも、ラーメン業界のM&Aは、スタートアップの世界と比べれば、金額は決して大きくない。マネーを最大化したいという目的なら、ラーメンは最適解とは言えないでしょう。


それでもM&Aを選ぶのは、それだけ苦しい局面があり、それでも続けたいもの、守りたい人がいるからだと思います。どれだけ悩んだか、どれだけ苦しかったかは、当事者にしか分かりません。外野が金額だけで評価する話ではありません。


これから先、ラーメン業界では、M&Aも事業承継も、グループ化も、もっと増えていくと思います。個人戦ではなく、団体戦の時代に入っている。


その中で、どんなラーメンが残るのか。どんな経営判断が必要なのか。

これは、現場にいる人間が、きちんと語っていくべきテーマだと思っています。


ラーメン店『ソラノイロ』創業者

飲食店コンサルタント

宮崎千尋



 
 
 

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