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インフレ時代に、ソラノイロがあえて「値下げ」を選んだ理由

正直に言えば、いまラーメン屋を取り巻く環境は、かなり厳しい。


米も小麦も肉も野菜も、人件費も上がり続けている。一方で、ラーメンの価格は簡単には上げられない。1000円を超えた瞬間に客数が落ちる──この感覚は、多くの店が共有している現実だと思います。


この状況そのものは、前回のnoteでも書いた通りです。今回は、「その中で、ソラノイロがどう判断し、手を打っているか」を書いていこうと思います。


値上げだけが、唯一の答えなのか


朝早くからスープを炊き、何時間も火の前に立ち、手間も原価もかかる。それでも最終的には「1000円以下で提供される料理」になる。この構造に、報われなさを感じる瞬間があるのも事実です。


では、原価が上がったから値上げする――それが唯一の正解なのか?


そう考え続ける中で、あらためて強さを感じたのが、坂内やサイゼリヤ、そして博多ラーメンの文化でした。


安い。

ボリュームがある。

選択肢があって、満足度が高い。


ソラノイロのオフィスがある京橋には、『喜多方ラーメン 坂内』京橋店があります。昼時になると当たり前のように行列ができる。いつも、その光景を目の当たりにしてきました。850円前後で、チャーシューがたっぷり入って、ご飯ものもあり、夜はちょい飲みもできる。行列を作っているけど、話題を集め、バズるラーメン屋ではない。それはもう、生活の一部に近い存在です。


全国のラーメン店、駅前や繁華街、ロードサイドまで幅広く食べ歩く中で、僕は考え続けていました。いま、本当に求められているラーメンは、どちらなのか。


こだわり抜いた一杯なのか。

それとも、気軽に食べられて、ちゃんと満足できる一杯なのか。


攻めの値下げで「生活」にラーメンを


そして、ソラノイロは一つの選択をしました。

西葛西店で、思い切って売価を値下げしたのです。850円から、780円へ。


「この原価で本当に大丈夫なのか」

「インフレ局面での値下げは危険じゃないか」


そんな声もありますが、僕はこう思ったんです。

780円でラーメンが食べられるって、やっぱり幸せだな、と。


替え玉込みで900円。それでお腹いっぱいになる。

特製も、過剰なトッピングはない。シンプルで、ちゃんとおいしい。

ラーメンって、本来それでいいんじゃないか。


インフレだからこそ、「安くて満足できる」という価値は、むしろ強くなるでしょう。

この値下げは、僕たちにとっては守りではありません。

ラーメンをもう一度“生活の側”に引き戻すための、ひとつの攻めのオプションなのです。


ラーメン店『ソラノイロ』創業者

飲食店コンサルタント

宮崎千尋

 
 
 

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