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オープンの準備は「本番」である─西葛西の反省から学んだこと

ソラノイロではこの2025年、連続して3店舗の立ち上げを行いました。8月の麹町本舗リニューアル、9月の西葛西店オープン、そして10月3日には銀座本店の開業を迎えることができました。どの店にも思い入れがありますが、今回はあえて、うまくいかなかった店舗オープンについて書いてみたいと思います。


「準備力」が問われた瞬間を振り返る


まず、9月にオープンした西葛西店を振り返ります。正直に言うと、万全な立ち上げができたとは言えませんでした。その要因は明確で、はっきり言えば、準備が足りなかったんです。


もともと席数も少なく、店舗としてはコンパクトな西葛西店です。「これならなんとかなるだろう」と幹部にも油断があったのかもしれません。スタッフ数も限られており、アルバイトもオープン当日に戦力になり切れていない状況でした。現場で棒立ちになってしまうアルバイトを見て、思わず幹部に声を荒げてしまった場面もありました。


彼らは「自分たちが回せれば問題ない」と思っていたのかもしれません。でも、それは「準備」の本質ではないんです。準備とは、「誰が立っても回るお店」をつくるためのもの。つまり、オペレーションや役割分担を明確にし、誰が入っても滞りなく動ける「仕組み」を整えること。チームで戦うための仕込みができていなかったのです。


研修中から「プロ意識」を持たせられるか、どうか


僕が修行先の一風堂で学んだことのひとつに、「研修期間=プロとしての第一歩」という考えがあります。時給が発生している以上、アルバイトだろうと本番の気持ちで臨まなければならない。それを伝えるのは、リーダーの役割です。


「今日はこの作業を覚えて帰ってもらおう」

「この段階が終わったら、次はラーメンの盛り付けに進んでもらおう」


アルバイトの教育では、このように明確な目的や段階をカリキュラムとして共有する。そうでなければ、研修はただの「時間つぶし」になってしまいます。お金が発生している以上、時間には意味を持たせなければならない。それを設計し、伝えることこそが、リーダーに求められる責任ではないでしょうか。


レセプションは「完成度を見せる場」であるべき


オープン前に行うレセプションも、ただ惰性でこなしていては意味がありません。それは、単なる内覧会や試食会ではなく、お客様への「本番のお披露目」です。ラーメンが出てこない、スタッフの動きがぎこちない――そんなレセプションでは、お客様にとっても、スタッフにとっても価値ある時間にはなりません。


レセプションの本来の目的は、本番前に内部でフィードバックと改善を重ね、完成度を高めることにあります。良い点も課題も事前に洗い出し、チームで共有する。その積み重ねが、初日の印象を大きく左右します。


これまで書いてきたように、オープンとは「練習」ではなく「本番」です。プロとしての仕事を見せる場として、お客様に喜んでいただける時間にしなければなりません。


西葛西店の経験を通じて、僕たちはその重みをあらためて実感しました。


いま、銀座本店が開業を迎えるこのタイミングで、このテーマを言語化しておきたいと思いました。この意識を、グループの風土として根付かせていくために。これからも、こうしたメッセージを継続的に発信していこうと思います。

 
 
 

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