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ラーメン1杯1000円時代に、どう向き合うか?~「高い」じゃなく「納得」される価格へ~

僕は、2024年の4月からラジオ番組にレギュラー出演しています。それは、ニッポン放送の「渡部陽一の明日へ喝!」


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ラーメン専門の番組ではありませんが、その分、より一般の方々にラーメン業界の現実や奥深さを届けられる貴重な場だと思っています。「宮﨑千尋のラーメン応援団!」というコーナーで、注目&オススメの最新ラーメンを取り上げていますので、日曜日午後6時、あるいはradikoなどで是非チェックしてみてください。


ラジオに出演するようになって、そしてこのnoteやブログ、Xでの発信を通して、自分には動画より音声やテキストの方が合っていると感じています。YouTubeはバズらせる力や、目を引くための演出、企画が求められますが、僕が伝えたいのは、もっと本質的なテーマです。だから、音声とnoteというスタイルで、業界の課題や可能性をじっくり言語化し、アーカイブしていきたいと思っています。


ラーメンの価格、見直しました


今回のテーマは「価格」です。ソラノイロ麹町本店では、1200円だった中華そばを1000円に、1600円だったチャーシュー麺を1500円に、2000円だった特製中華そばを1800円に見直しました。この価格改定は2023年末ごろから検討していて、店舗の改装タイミングで踏み切ったんです。


これはトッピングする具材の原価バランスの見直しによるもの。例えば、特製ラーメンのチャーシューは6枚から5枚に減らすなどして調整したものです。食材をコストダウンしたわけではないので、ご安心ください。


トッピングを見直すときに、「かけラーメン」的なシンプル構成も選択肢としてありました。ただ、僕はやっぱりチャーシューは乗せたい。ネギだけじゃちょっと寂しいなって。スープと麺を純粋に楽しめるといっても、なにかひとつ「満足感」を加えることで、食べ手の食体験は大きく変わると思いますからね。


ソラノイロ本店の場合、LINEの友だち登録で配布しているクーポンによって、わかめやのり、豚チャーシュー、ねぎ飯などを月1回無料で提供しています。1000円でラーメン+ミニ丼が楽しめたら、かなり満足度は高いと思いますよ。本店は、週に1度来てくれるお客様に、気軽に手が届く価格でありたい。そう思って、月に1度は「1000円ラーメン+無料トッピング」を楽しめるよう、納得感と満足感を提供できればと思っています。


次は「特製2000円」の壁?


さて、ラーメン界でよく言われるのが「1000円の壁」。これは、消費者が心理的に高いと感じ、客足が減る現象、あるいはそれを懸念するラーメン店側の心理的な障壁を指します。ラーメンって、「安くて手軽なB級グルメ」として長く親しまれてきただけに、「ラーメンで1000円超えるの?」「1000円超えたらラーメンじゃない」といった消費者がまだまだ多い、という現状があります。実は、ソラノイロは、10年ほど前にすでに「1000円の壁」を越えていました。ですが、いま改めて感じるのは、ラーメンに対する消費者の心理的な壁がまだまだ強いということ。特にクラシック系や家系、二郎系のようなジャンルでは、1000円を超えると否定的に見られる傾向があると感じています。麹町本店のラーメンも構造的にはクラシック寄りなので、一部からは「高い」という反応もいただいていました。


近年は中華そばを1200円というプライシングだったのですが、客単価は上がったものの、客数は減りました。経営的には良好に推移していても、ある意味ではお客様からの“支持率”が下がった、とも言えます。だからこそ、業界的におしなべて値上げを考えている現状に、思いきって価格を見直しました。


価格見直しの結果として、お客様からの支持、手応えを感じています。2000円から1800円になった特製ラーメンの注文も増えていて、全部入りの特製ラーメンという領域では、次は「2000円の壁」が一つのハードルになっていくのかもしれない、と感じましたね。


グループの力で、挑戦を続けられる


もちろん、すべての店舗が同じ価格戦略をとっているわけではありません。東京駅店はインバウンド客が多く、ビーガンやグルテンフリーメニューもあり、価格帯も調整しています。革新家は日本人客が中心ですし、マルミャーもそう。そのエリアの特性を見て、それぞれに設定しています。


そして、こうした挑戦ができるのも、第1回でも書いたOICグループへの参画が大きいです。ロピアをはじめ、食の最前線にいるプロが集まっている環境の中で、仕入れ先の見直しやシナジーを活かした取り組みができています。


次回は、このOICグループの魅力やポテンシャルについて、より深く語っていきたいと思います。どうぞご期待ください!


ラーメン店『ソラノイロ』創業者


飲食店コンサルタント 宮崎千尋

 
 
 

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