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凡事徹底が飲食店を変える─「当たり前」を徹底できるチームこそ、強い

今回は「凡事徹底」というキーワードについて考えてみたいと思います。この言葉自体は、何度も繰り返し言われてきたこと。当たり前のことだと思われるかもしれません。


でも、飲食店って、この「当たり前」の繰り返しなんですよね。仕込みをして、営業して、片付けして、レジ締めて終わる。毎日がそのルーティン。そして、長く続けてきて思うのは、その「当たり前」をどれだけ徹底できるかがすべてだということです。


なぜなら、「当たり前」だと考えてしまうから、やっているうちにどうしても“作業”になりがちなんです。「ラーメンを運ぶ」「麺を1分半で茹でる」──作業で終わらせてしまっては、お客さんに伝わるものが何もない。そして、本人にも何も積み重ねがありません。


掃除ひとつとっても、ただ作業としてこなすのではなく、「どうやったら綺麗にできるか」を意識して汚れを落とし、仕込みやオペレーションしやすいような厨房を整えていく。その意識と実践の積み重ねが、お店の印象を変えていきます。


良い店をつくるのは、味だけじゃありません。店内の清潔さ、空調を含めた居心地の良さ、スタッフの接客──店をかたちづくる、すべてのものが大切です。そして、それをつくるのは関わるスタッフの意識、当たり前を当たり前にしないで取り組む意識なのだと思います。



スタッフの意識が、組織のチカラになっていく


それを支えるのは、スタッフ一人ひとりの意識です。掃除、オペレーション、接客サービス──自分の行動や振る舞いがどんな価値を生んでいるかを意識し、工夫を重ねていくだけで、店の空気は驚くほど変わっていきます。



その意識づけを高めるために、ソラノイロでは全社員に日報の記入を義務づけています。そして、それに対して必ず上長がコメントを返す。社員には店長が、店長には部長が。そのやり取りを“公開交換日記”のようなかたちで全員が共有する。これはサービスを第三者の目で見直し、より良くしていくための仕組みです。


創業から続けている朝礼も、その一環です。営業開始の10分前にスタッフ全員が集まり、仕込みから営業への気持ちを切り替える。たった10分の取り組みですが、毎日の積み重ねがチームのスイッチを確実に入れてくれるのです。


僕がかつて責任者を務めていた『一風堂』や『五行』では、終礼に1時間かけていたこともありました。今振り返れば少しやりすぎだったかもしれませんが(笑)、その時間が確かにチームの団結力を育ててくれた。営業後に蕎麦屋へ移動して、仕事について語り合ったあの時間が、僕の原点でもあります。


ただ、当時は一店舗運営だったからこそ実現できたこと。今のソラノイロは多店舗展開で、社員数も桁違いに増えました。そうなると、単に「日報」「朝礼」という“仕組み”だけを導入しても、その意図が伝わりづらくなる。「作業」として流れてしまう可能性も出てきます。


だからこそ、僕たちはこれを「文化」として定義しています。「働く以上は、こうした取り組みを大切にしてほしい」と、丁寧に伝えています。そして、形だけにしないための工夫として、仕組み化とインセンティブ設計も行っています。たとえば、日報を毎日書いたり、飲食人としての基礎である“食べ歩き”をこなしたりしたら、報酬を加算します。作業として捉えず、意識的に取り組んだ人が報われる、やったことが結果として返ってくる、そんなシステムです。


外に出て学び、インプットし、それを自分の仕事に活かしていく。そうした日々の積み重ねが、良い習慣を生み、スタッフ個々の実力とスキルを引き上げていく。それは、最終的には「いいお店」をつくる土台になっていく。僕たちは、そう信じています。


ラーメン店『ソラノイロ』創業者

飲食店コンサルタント 宮崎千尋



 
 
 

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