台湾出店、進行中!アジア市場に挑む視点と可能性
- 宮崎千尋

- 5月9日
- 読了時間: 3分
更新日:7月22日
2025年11月、ソラノイロは台湾・台中の百貨店に出店することが決まりました。これまでもアジア各国のラーメン事情には関心を持ってきましたが、いよいよ自分たちのブランドで海外に挑戦するというフェーズに入り、僕自身の意識も大きく変わってきています。
僕は、台湾出店の話を進める中で、ラーメン屋として必要な視点や対応力、アジア市場における「ラーメン」という料理の立ち位置について、あらためて考えるようになりました。
台湾でラーメンを食べ歩いて見えてきたもの
台湾に出張して、現地のラーメン店を食べ歩いて感じたのは、日本のラーメンが「やや高級な食べ物」として捉えられていることでした。もちろんラーメンを食べる層はいますが、台北や台中の人たちにとって、ラーメンは「毎日の食事」としては、まだ定着していないように感じます。台湾のラーメンフリークの声として、「ラーメンは主流の料理ではなく、SNSや同好会のサイトで情報を得ている人が多い」というコメントもありました。ただ、これは大きな伸びしろとも言えます。台中は、感覚的には「日本でいう名古屋」。地方都市ながら商業的な活気があり、チャレンジングな都市なのです。


オリエンタルベジタリアンで百貨店に出店
今回出店するのは、台中の百貨店内にある飲食エリア。これまでの路面店とはまったく違う動線や導線の中で、どう認知を取っていくかがポイントになります。さらに、台湾では「オリエンタルベジタリアン」と呼ばれる宗教的・文化的背景を持つ菜食主義者が一定数いるので、僕たちソラノイロもその層に向けたメニューを用意します。オリエンタルベジタリアンとは、ニンニク、ネギ、ニラ、ラッキョウ、タマネギという「五葷(ごくん)」を抜くレシピや、現地食材を使ったアレンジなど、細やかな対応が求められています。
現地の食材や製麺への期待も
前回紹介したようなマレーシアでの経験から、現地製麺所のクオリティは想像以上に高いことがわかりました。今回の台湾出店でも、現地の製麺所と何度もやり取りを重ね、日本からフィードバックを返しながら調整を続けています。食材の違いや文化の違いはあれど、「どれだけ本気で現地と向き合えるか」が最終的なクオリティを左右する。台湾出店を成功させるうえでも、現地スタッフとの信頼関係や柔軟なローカライズが鍵になると感じています。
台中出店を皮切りに、台北や高雄への展開も視野に入れています。また、OICグループの動きと連動しながら、バンコクやホーチミン、ハノイといった都市も候補に挙がっています。アジア各国にはラーメンがまだ主流とはいえない地域も多く、だからこそ挑戦の余地がある。もちろん、現地の状況を見極めながらになりますが、自分たちのスタイルで地に足のついた展開をしていきたいと思っています。


「主体的に動いていく」それがソラノイロのイズム
今回の台湾出店にあたっても、「やってくれ」と言われて動くのではなく、自分たちから主体的に仕掛けていくことを大切にしています。任されるのではなく、自分で判断し、自分で動く。そのために必要な体制を整え、情報を集め、現地と向き合っていく。これは常々、僕が仲間たちに言ってきたことです。
海外出店は決して簡単ではありません。でも、現地の人たちと誠実に向き合い、丁寧に一杯のラーメンを届けていくこと。それを積み重ねることで、アジアにおけるソラノイロの存在感も、少しずつ育っていくはずです。
次回は、国内のコンサルティングや顧問業について、僕が今どんなふうに考え、どんな現場と関わっているのかをご紹介したいと思います。こちらもぜひ、お楽しみに!
ラーメン店『ソラノイロ』創業者
飲食店コンサルタント 宮崎千尋



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