“普通”の強さを信じて──まっすぐなラーメンに込めた思い
- 宮崎千尋

- 2025年11月6日
- 読了時間: 3分
更新日:1 日前
麹町店のリニューアルや西葛西店のオープン後、SNSでこんな声を見かけました。
「何の変哲もない、普通のラーメンだった」
率直に言えば、こういう評価は今までも何度か見かけてきました。派手さがない、クセがない、ひねりがない──そうした視点で見れば、確かにそうかもしれません。
でも、不思議と僕は気にならなかったんです。なぜなら、僕は「普通のすごさ」を信じているから。長年、変化球のようなラーメンを作ってきた僕が、あえてまっすぐな直球を投げるようになった。むしろ、これは自分の中での“挑戦”なんです。

「普通に美味しい」を、真剣に作るということ
たとえば、僕がいま個人的に好きなチェーンのひとつに、喜多方ラーメンの『坂内』があります。チャーシューの量が多いかな、くらいで、スープや麺はあくまでシンプル。でも、そこにはいつも行列ができています。なぜか?
それは、“普通に美味しい”という圧倒的な信頼があるからです。決して奇抜な一杯ではないけれど、「あそこ、なんか食べたくなるよね」と思わせる強さがある。
そしてもう一軒、まさに“普通のすごさ”を体現している店として思い浮かぶのが、門前仲町の『こうかいぼう』です。2001年の開業以来、四半世紀にわたって愛される名店で、店主ご夫妻は「毎日飲みたい、味噌汁のようなラーメン」を掲げ、あたたかい接客と、手間を惜しまない丁寧な仕事で一杯を仕上げています。
共通して感じるのは、「普通」が決して凡庸の意味ではなく、日常に寄り添う“強さ”として成立しているということ。特別な日に行くラーメンではなく、仕事帰りや休日の昼にふと足が向くラーメン。その「肩の力が抜けた魅力」こそ、実は多くの人が求めているものなのだと思います。
もちろん、個性やクセを出すことは簡単です。強い匂いや油で中毒性を演出するのも、ラーメンの技術のひとつです。でも、それが万人に受け入れられるとは限らない。特に麹町のようなオフィス街では、匂いも控えめで、誰もが気軽に食べられる味が求められます。
西葛西もそう。地元の人が家族で来てくれるような、日常に馴染むラーメンを提供したかった。だからこそ、「普通」を選んだんです。

「普通のラーメンなんて、誰にでも作れる」と思われるかもしれません。でも、実際にはその“普通”こそが一番難しい。飽きずに、ぶれずに、何度でも食べたくなる味。これは一朝一夕では作れません。
普通はすごい。
普通のラーメンが、うまい。
だから僕は、あえてそこに向き合っていきたい。その“まっすぐさ”を、これからのソラノイロで形にしていきたいと思っています。
ラーメン店『ソラノイロ』創業者
飲食店コンサルタント
宮崎千尋



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