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飲食店の“経営支援”という仕事─商品開発の先にある、もうひとつのコンサルティング

更新日:7月22日

現場に根ざす、実務型コンサルティングの現在地


コンサルティングという仕事にもいろいろな形がありますが、僕自身の関わり方も、少しずつ変わってきたように感じています。


これまでは、メニュー開発や店舗コンセプトの提案など“表”の仕事が中心でしたが、最近では“裏方”としての関与が増え、そこに自分なりのやりがいを感じるようになってきました。

たとえば、いま九州で顧問として関わっているラーメン店では、人件費や原価率の見直し、生産性向上といったバックオフィスの改善提案を行っています。たとえば「1人あたり1時間でいくら売っているか」といった指標を用いて、生産性を可視化したり、地元の仕入れ業者を見直して食材コストを抑える提案をしたりと、取り組みは地道ですが確実に成果につながるものばかりです。


一風堂時代に身につけた経営の感覚が、知らず知らずのうちに自分の中に残っていて、今、現場でそれが確かに生きていると感じます。毎月の損益計算書を見れば数字の違和感にすぐ気づけるし、スタッフの動きやラーメンの提供スピードを見れば、オペレーションが整っているかどうかも自然と判断できる。それは、経験を積む中で身に染みついた感覚です。


僕の名前が表に出るような仕事ではありません。でも、こうした積み重ねこそが、店舗経営の安定と成長を支える本質的な支援だと思っています。


最近では、ラーメン業界でもメニュー開発や商品プロデュースに特化したコンサルが注目されがちですが、本当に問われるのは“おいしいラーメン”を持続的に提供する体制をどう築くか、という部分です。スタッフの教育、オペレーション管理、衛生面や接客品質、さらにはSNSを通じた集客まで──すべてを見据えた支援が求められています。


いくらメニューの完成度が高くても、それを現場で理想通りに再現できなければ意味がないし、そもそもお客さまにその存在を届けなければ価値は発揮されません。今のラーメン業界に必要なのは、店舗全体を構造的に見通しながら支える“経営視点を持ったコンサルティング”ではないでしょうか。


“伴走型支援”という選択──顧問スタイルの可能性


そんなふうに、表には出なくても、確かに経営の土台を支えるような関わり方に手応えを感じる中で、今後は「経営アドバイザー」として、顧問的に伴走するスタイルをもっと増やしていきたいと考えています。


いわば、弁護士や税理士、社労士のように、経営者が“必要なときにすぐ相談できる”存在。そんなサブスクリプション的な関係性で、飲食店やラーメン店の現場を継続的に支えていく。僕自身、信頼できる仕入れ先や人材ネットワークも持っているので、それらを活用したコストダウンや仕入れ改善の提案も含めて、実務的に支援できる体制があります。


実際、九州での顧問業務でも、アルバイトのシフトを最適化するだけで、月数万円の人件費を削減し、コンサルティングフィーを上回る成果を上げたケースもありました。地味かもしれませんが、こうした小さな積み重ねが、確かな経営支援につながると感じています。


現在つながっているクライアントの多くは、紹介を通じてご縁をいただいた方々です。ウェブ経由の依頼もありますが、やはり紹介の方が信頼関係を築きやすく、結果的により長く、深い支援につながることが多いです。


僕はこれからも、過剰なセールスはしません。自分の価値をきちんと理解してくれる方と、信頼のある関係性を築いていきたい。「必要なときに、そっと寄り添える存在」として、これからの飲食業界に向き合っていこうと思っています。


ラーメン店『ソラノイロ』創業者

飲食店コンサルタント 宮崎千尋

 
 
 

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